われらアグリ応援団 第19回「桃を引き継ぐ」

2022.08.19

ニュースの柱はどこに

 

 現場に行ってみなければ、どんなニュースか分からないことがある。

 夏のある日、知り合いからLINEで情報が入った。射水市にあるアグリプラスという会社が、8月20日までの期間限定で明文堂書店に直売所を出し、白桃を販売するという。オリジナルの桃ソフトも扱うようだ。

 たしか国道8号を走ると、射水と高岡の境目あたりに大きい本屋さんがあったなあ。場所はきっとそこだろう。なぜ、そんなところに桃の直売所を出すのだろうか。最初は「書店に直売所なんて珍しいぞ」ぐらいのニュースをイメージしていた。

 その直売所は駐車場の一角にあった。

 ものすごい暑さの中、顔なじみの大柄な男が、仲間と一緒に汗だくになって桃を売っている。前JA富山県青壮年組織協議会長の髙木謙太郎さんだ。

 彼がアグリプラスの社長だった。

 よくよく話を聞けば、高齢化で桃の栽培を続けることが難しくなっていた営農組合から、桃畑を引き継いだのだという。会社を創業したのは昨年のこと。とやま農業未来カレッジ同期生の向拓朗さんにも「一緒にやろうよ」と声を掛け、栽培に取り組んできた。

 そういうことなら話は別だ。

 執筆の方針は定まった。

 ニュースのポイントは第一に、高齢化を背景にした事業承継だ。二つ目は若者たちの思いに地域の書店が応え、場所を提供したという話だろう。桃を使ったソフトクリームを新たに開発したことも忘れてはならんなあ。

 なんと、書くべき柱が3本もあるぞ。

 執筆のハードルは高いが、それぞれの柱にストーリーが立つということは、それだけ青年たちが頑張っているという証拠でもある。

 彼らを気持ちよく応援しようじゃないか。

 どう書くか、ライターとしても腕の見せどころだ。

 

▲桃を販売するスタッフ

 

▲桃を使ったソフトクリーム

 

▲客でにぎわう桃の直売所

 

〇執筆者

本田光信(ほんだ・みつのぶ) 1966年生まれ。平成の幕開けとともに一般紙記者になり、報道・編集の現場で仕事をしてきた。デスクなどを務めて退職し、フリーとして活動。2021年から日本農業新聞富山通信部ライター。著書や共同執筆による出版多数。「文藝春秋」、日本新聞協会「新聞研究」などに執筆歴あり。