われらアグリ応援団 第21回「ニンジン拡大」

2022.09.16

挑む姿に頼もしさ

 

 「にんじんとのであい」と大きく書かれたポスターを前に、カメラを構えた。

 JA福光の女性スタッフ2人が手にしているのは、開発したばかりの「FUKUMITSU(福光)にんじんジェラート」だ。

 新聞に写真を載せるとき、ジェラートだけだと小さくて分かりにくいが、「にぎやかなポスター」と「にこやかな笑顔」があると、そのおいしさも伝わりやすくなる。

 このにんじんジェラート。地元で評判のジェラート店「ZUCCA(ズッカ)」と共同開発した商品で、味は本物だ。農産物直売所の「う米蔵」で販売しているので、ぜひ食べてみてほしい。スプーンに載せて口に運ぶと、ニンジンとヨーグルトのほのかな風味、そして上品な甘みがふわっと広がる。

 メイン素材のニンジンは、もちろん地元で生産している。ジェラート販売は消費拡大に向けた取り組みのひとつ。営農部の湯浅健さんは「ニンジンを何かに活用できないかと考え、ペーストに1次加工したのが始まり」と言う。その後、ジェラートと出会い、ニンジンとの相性の良さに気付いたそうだ。

 JA福光管内では「ニンジンの産地化」に取り組んでいる。令和に入ってから本格的な生産を始め、今年は8・8ヘクタールにまで拡大した。この日視察した「ファーム天神」の畑では、かん水管理に情報通信技術(ICT)を活用するなど、収量と品質を高める努力を続けているという。

 すべてが「挑戦」である。

 ニンジンの生産を始めた時、ペーストに加工しようと考えた時、ジェラート作りに乗り出す時。だれかが一歩を踏み出す瞬間があったから、今があるといえよう。

 高齢化や担い手不足は、中山間地を多く抱える福光ではより難しい課題かもしれない。だが、夢を持ち、楽しみながらひとつひとつ挑んでいくスタッフの姿に頼もしさを感じた。

 

  • ▲新しいジェラートをPRするJA福光のスタッフ

 

  • ▲「FUKUMITSU(福光)にんじんジェラート」

 

  • ▲ICTを活用し、スマート農業に取り組むニンジンの畑

 

  • ▲ニンジンの生産拡大に向けた研修会

 

 

〇執筆者

本田光信(ほんだ・みつのぶ) 1966年生まれ。平成の幕開けとともに一般紙記者になり、報道・編集の現場で仕事をしてきた。デスクなどを務めて退職し、フリーとして活動。2021年から日本農業新聞富山通信部ライター。著書や共同執筆による出版多数。「文藝春秋」、日本新聞協会「新聞研究」などに執筆歴あり。