われらアグリ応援団 第23回「国消国産」

2022.10.24

大切なメッセージ

 

 記事を書いていて、うっかり間違えそうになる言葉がひとつ増えた。

「国消国産」である。わたしの古いアタマになじんだ「地産地消」とは、「消」と「産」の位置が逆なので、間違えないよう脳みそを鍛え直さなければならないと思っている。

 そもそも、なぜ逆なのか不思議だった。

 つい先日、JAグループの精鋭たちが朝から富山駅に集結し、リーフレットや「富富富」のパックごはんなどを配っていた。富山中央会、全農とやま、共済連富山、農林中央金庫富山支店の若い衆が顔をそろえている。実にさわやかなPR活動である。

 中央会の大岩部長からリーフレットをもらって表紙を見ると、テレビでよく見かける人物がほほえんでいる。タイトルは「林修先生と学ぶみんなの食料安全保障」。ちなみに林先生はJAグループサポーターなのだという。

 きっと、食料安保について易しく解説してくださるのだろうと思ってリーフレットに目を通すと、これまで謎だった「国消国産」の意味も書かれていた。

 先生いわく、「『国』民が必要として『消』費する食料は、できるだけその『国』で生『産』しよう」という考え方らしい。

 であれば、言葉の並びも「国・消・国・産」の順になることが納得できる。さすが、林先生。リーフレットには、ほかにも食料安保にまつわるあれこれについて、とても分かりやすく書いてある。手に入ればぜひ読んでみてほしい。

 さて、ここからは、わたくし個人の解釈。

 みなさんのお叱りを覚悟して、「国消国産」をおおざっぱに言い換えるなら「自分たちの国で食べるものくらい自分たちで作ろうよ」といったニュアンスではなかろうか。ようするに、食料の6割も輸入に頼っていていいのか、ということだ。今はなんとかなっているが、国と国との関係も、世界経済も、気候変動も、「この先、何がどうなるか分からん」ということを前提にした心構えが必要で、そのことを大局観に立って「もの申す」言葉なのだと思う。農業を守り、将来の日本人にひもじい思いをさせてはならない。

 では、一方の「地産地消」はどうだろう。

 こちらは「地元で作るものを、みんなで食べて応援しよう」っていう感じ。擬人化すれば、身近にいる気さくな農家のおじさんのような言葉だ。「地元で作ったものは新鮮でおいしいよ。買う人はほっこりするし、農家の応援にもなる。しかも輸送コストがかからず、環境破壊も抑えられるんだよ。すごいだろう」。そうささやく声が聞こえてきそうだ。

 二つは、なんとなく似ていて、違う言葉。

 どちらにも大切なメッセージが込められている。

 

▲国消国産のPR活動に参加したJAグループの若手

 

▲林修先生のリーフレットと乃木坂46の国消国産のぼり旗

 

▲リーフレットや「富富富」を配り、国消国産をアピールする若手職員

 

 

〇執筆者

本田光信(ほんだ・みつのぶ) 1966年生まれ。平成の幕開けとともに一般紙記者になり、報道・編集の現場で仕事をしてきた。デスクなどを務めて退職し、フリーとして活動。2021年から日本農業新聞富山通信部ライター。著書や共同執筆による出版多数。「文藝春秋」、日本新聞協会「新聞研究」などに執筆歴あり。