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われらアグリ応援団 第39回 「高温に強く」

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われらアグリ応援団 第39回 「高温に強く」

富山米の魅力を向上

 

ファボーレの1階特設コーナーに積まれていたのは、赤い「富富富」の文字が入った見慣れた袋の精米だった。だが、ただの「富富富」ではない。

よく見ると、袋にはイラスト付きのワッペンが貼ってある。

「入善高校 南砺福野高校の生徒が栽培したお米です」と記したワッペンだ。

農業を学ぶ高校生たちが作った米だけを袋に詰めて、JAライフ富山が一般販売した特別バージョンだという。

店内では、栽培に携わった両校の生徒6人がお客さんに声を掛けながら試食販売し、「富富富」の魅力やおいしさをPRしていた。ラップに包んでひと口サイズにしたご飯を、私もその場でおいしくいただき、5キロ入りをひと袋購入した。

生徒たちは昨年の厳しい暑さの中、米作りを経験し、異常な高温に耐えた「富富富」の実力を目の当たりにした。入善高校農業科の囲真樹さんは「先生に教わりながら水の管理に気を付けた」と振り返り、南砺福野高校の農業環境科で学ぶ片山菜々実さんは「コシヒカリにひけをとらず、おいしい米に育った」と笑みをこぼす。生徒たちは「温暖化でこの米がますます必要とされるはず」と期待していた。

実際、県内では「コシヒカリ」の1等米比率(12月末現在)が48%に落ちた一方、「富富富」は93・1%というハイスコアをたたき出している。JA富山中央会長が委員長を務める「富富富」戦略推進会議は今年に入り、大きな決断をした。4年後の2028年に、「富富富」の作付面積を1万ヘクタールにまで拡大する目標を掲げたのである。

県内の品種構成で言えば、ほぼ3分の1にあたる。今年の生産登録は面積にして約2500ヘクタールと昨年の1・5倍に急増したものの、新たに掲げた目標を達成するには、ここからさらに4倍にまで拡大する必要がある。

新たな目標は、それだけの覚悟を示した数字とも言えるだろう。

一方、富山県には中生の「富富富」ばかりではなく、ほかにも高温に強い米があるということを忘れてはならない。早生の「てんたかく」と晩生の「てんこもり」も昨年のあの暑さの中、1等米比率90%前後を記録している。次期戦略ではこれらも含めて高温耐性品種を、全体の5割に高めていくという。

「これからはリスク分散が必要だから」と書いてしまうと肩に力が入る。新米のトップバッターを務める「てんたかく」や、食味ランキングで「特A」の評価を得たこともある「てんこもり」などにも力を注ぐことで、富山米の多様な魅力に磨きをかけていきたい。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

 

▲「富富富」を試食販売する入善、南砺福野高校の生徒

 

▲高校生が栽培したことをPRするワッペン

 

▲「富富富」拡大へ新たな目標を掲げた戦略推進会議