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われらアグリ応援団 第45回 「トマト教室」

たま吉くん
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われらアグリ応援団 第45回 「トマト教室」

ぜいたくな時間

 

畑に入った子どもたちが歓声を上げた。

「すごい」

「トマトがたくさんある!」

子どもたちは親御さんといっしょに、赤く熟した実を見つけては、ひとつひとつ楽しそうに摘んでいく。袋いっぱいに収穫したトマトを掲げ、笑顔を見せる女の子もいた。

JAなのはなが企画した「夏休み親子農業教室」は、雲ひとつない夏空のもとで開かれた。収穫したのは富山市の水橋地区で作る「加工用トマト」である。広い畑にごろごろと転がるトマトたちは、野武士の集団のようなつらがまえをしている。日差しが強いため、作業は短い時間だったが、子どもたちにとっては充実したひとときになった。

この日の収穫体験で特筆すべきことは、会場となった加工用トマトの畑が、国が再編整備を進めている農地のひとつだということ。地域農業の未来を見すえ、高収益作物を栽培する実証実験用の畑だった。子どもたちが大きくなったときに「あの時の畑がそうだったのか」と気づいてくれたら、主催者側も本望だろう。

体験教室はこれで終わりではない。

バスに乗って次に向かったのは、八幡地区センターの調理室である。加工用トマトという野菜が、食材としてどう生かされているのかを学ぶ調理実習がスタートした。女性部の7人がサポートし、谷井悦子組合長みずからエプロン姿で先生役を務めている。

時間短縮のため事前に用意した加工済みのトマトピューレを素材にケチャップを作り、びんに詰めていく。子どもたちの表情は真剣そのものである。作ったばかりのケチャップと、直売所から届いたフレッシュな生食用トマトやピーマンなどの野菜でナポリタンも作り、「地産地消のごちそう」を味わったのだった。

大好きなケチャップ作りに熱中する子どもたちの姿はほほえましく、大人たちも存外楽しそうだった。なかには加工用と生食トマトを食べ比べてみたという親子がいて、「加工用も、皮は硬いけどおいしいですよ」と教えてくれたのが、おもしろかった。

収穫し、調理し、味わうことをすべて体験できるという楽しくもぜいたくなイベント。創造性豊かな時間を生みだす食の可能性を、あらためて感じた。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲収穫した加工用トマトを掲げる子どもたち

 

▲新鮮野菜を使った調理を楽しむ参加者

 

▲野菜のカットに挑戦する児童

 

▲教わりながら調理を学ぶ児童