われらアグリ応援団 第58回 「富山米の店」 若手がPRに奮闘

われらアグリ応援団 第58回 「富山米の店」 若手がPRに奮闘
○最近立ち寄った飲食店で、店主が「富山は水がおいしいのだから、当然、米だってうまい」と話していた。きっと、そうだろう。北アルプス立山連峰から富山湾の深海にいたるダイナミックな地形は、冬には雪深く厳しい環境をもたらすが、それは雪解けの春から「恵み」となってこの土地を潤す。
○富山の米のおいしさは県民の知るところだ。
○ところが、全国の知名度となると隣県の新潟に比べてまだまだ低いようで、歯がゆい思いをしている人も多いのではないか。
○富山の米をもっとアピールしなければ、と立ち上がった若者たちがいる。
○JA富山中央会農業対策部の堀内陽介さん(32)と谷村駿太朗さん(30)、出村貴志さん(28)だ。アレクサンドル・デュマの名作にあやかって中央会の「三銃士」とでも名付けようか。
○三銃士は9月から「美味(おい)しい富山米の店」の取材を始め、SNSのインスタグラムに順次投稿している。
○美味しい富山米の店は、富山県や中央会などでつくる県米消費拡大推進協議会が、長年取り組んできた企画だ。富山米を100%使うなど基準を満たした147店が登録している。中央会はこれまでも公式ホームページに全店の一覧やマップを掲載してきたが、さらに宣伝力を高めたいと、三銃士はSNSで動画を発信する取り組みをスタートさせた。第1弾は富山市の「和風焼肉 富山育ち」である。よくできているので、一度ぜひ、インスタでご覧いただきたい。
○三銃士は行き当たりばったりではなく、綿密に構成案を練って取材に臨んでいる。撮影が上手な出村さんは「主役のお米を引き立たせるよう、動画構成と画角にこだわっている」と言い、先輩の谷村さんは「富山米をおいしいと思ってもらえる人が増えれば、農家の皆さんにも貢献できる。好循環を生みたい」と意気込む。堀内さんも思いは同じだ。三銃士はこれからも力を合わせ、登録店に足を運ぶ。
○さて、ここまで筆を進めてきて、いまさらながら重大な事実に気づいた。小説「三銃士」の主人公は、銃士になることを夢見てパリに出てきた田舎の若者ダルタニアン。3人のベテラン銃士と一緒に、迫りくる危機や英仏間の陰謀に立ち向かう。
○つまり4人いるのだが、まあ、いいか。
日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信
▲登録店のメニューを撮影する堀内さん(左)と出村さん
▲SNSの画面