われらアグリ応援団 第59回 「街なかイベント」 強い思いで実現

われらアグリ応援団 第59回 「街なかイベント」 強い思いで実現
○おはやしが街に響き、郡上おどりが始まった。全国から集まった大勢の人が二重、三重の輪をつくり、下駄を鳴らしながら楽しそうに踊っている。「春駒」や「かわさき」など聞き覚えのある唄が次々に流れてくるので、私もその輪に加わり、岐阜や愛知から駆けつけたという熱心なファンの皆さんの踊りをまねてみた。
○合わせて10曲、気づくと2時間余りの時が流れていた。
○演奏してくださったのは本場の郡上おどり保存会だが、ここは岐阜県の郡上八幡ではない。
○富山県農協会館のとなりの広場である
○郡上おどりの熱気を富山の街なかにもってきて、しかも、その会場で農産物を直売しようという欲張りな試みだった。直売ブースや屋台のテント、キッチンカーも並び、大いににぎわった。この周辺がこれほど盛り上がったのは、いつぞやのディズニーパレード以来かもしれない。
○仕掛け人はJAなのはなの総務課主任、大沢侑さんだ。
○「踊りと直売」という不思議なコラボレーションが生まれたきっかけは、大沢さんの旅だった。彼が訪ねた郡上八幡は、山に囲まれた静かな町。夜になると雰囲気は一変し、地元の人も観光客も一緒になって踊り続ける。すっかり郡上おどりのファンになった大沢さんは「この熱気をそのまま富山に持ってくることができたら」と考えた。「規格外の野菜を生かしたい」「富山の中心部で朝市は開けないか」という生産者の声も受け、今回のイベントを思い立った。
○一人の熱い思いが、職場の同僚や友人、学生など多くの人を巻き込んでいった。郡上おどりだけでも立派な企画だと思うが、さらに太鼓やブラス演奏、おわらの舞台なども盛り込んだ一大イベントに発展した。参加した皆さんに話を聞くと、農業への貢献だけでなく、街なかのにぎわいづくりや交流人口の拡大に期待する反応が多かったように思う。大成功だったのではないか。
○10月だというのに気温30度を超す暑さで、服もシャツも汗だくになったが、気分はさわやかだった。JAなのはなの女性グループ「tanoseedくらぶ」が販売していた果物のソーダが、とても冷たくておいしかった。
日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

▲郡上おどりを披露する保存会

▲踊りを楽しむ参加者

▲大沢さん(右)らスタッフ

▲販売に汗を流した女性たち