われらアグリ応援団 第66回 「AO FARM」 地域の将来思い挑戦

われらアグリ応援団 第66回 「AO FARM」 地域の将来思い挑戦
○水橋地区のキャベツ畑に、JAなのはなの谷井悦子組合長がいても不思議ではないかもしれない。ところがこの日は、新田八朗知事と藤井裕久富山市長、それに北陸農政局の植野栄治局長まで、そうそうたる顔ぶれが畑にそろった。そこには、この日の主役となる地元の物流会社アイカワの相川亮社長の姿もあった。
○アイカワとJAなのはなは今年2月に共同出資し、株式会社「AO FARM(アオファーム)」を設立した。農業への異業種参入である。その経緯について谷井組合長は「社長の熱い思いに打たれた」と打ち明ける。
○どういうことなのだろうか。
○相川社長は、創業の地である水橋地区の将来を憂いていた。大切なふるさとの農業が、人口減少や担い手不足といった大きな課題に直面している。そのことに胸をいため、農業への参入を決めたのだという。「ほかの産業の問題として目をそむけるのではなく、みずから関わり、挑戦することを決意した」と思いを語る。
○5人がそろったキャベツ畑は、国が大規模な農地整備を進めているエリアの一角にある。この事業は田んぼの区画を大きく広げ、農道や用水路を整え、大きい機械も入りやすくするというもの。畑への応用を視野に入れている。この場所で4月下旬、アイカワとJA、県、市は「野菜の生産拡大と地域活性化」を図るための連携協定を結んだのだった。
○かんたんに言えば「AO FARM」がスマート農業などを活用し、高い収益が見込める野菜などを作る。行政がその取り組みを支援する。協定は、生産拡大や地域の活性化、農業人材の育成などを目指す内容になっている。協定書にサインした新田知事は「この挑戦のモデルを県全域に波及させたい」と語り、藤井市長も大きな期待を寄せていた。
○「AO FARM」は初年度、2㌶で加工用キャベツやトマト、ニンジン、タマネギ、サツマイモ、カボチャなどを栽培する。ゆくゆくは100㌶にまで生産面積を拡大する目標を掲げている。谷井組合長は「生産拡大の先には、加工や販売、地域雇用の拡充も見すえている。日本全国に通じるモデル地区に育てたい」と言う。
○全国各地でどんなに優れた農地整備を行ったとしても、それを生かしきることができなければ意味がない。夢のある未来を思い描ける地域や農業を、いかにつくり上げるか。
○「AO FARM」の挑戦が、そのきっかけになることを願う。
日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

▲キャベツ畑で意気込みを示す北陸農政局長、市長、知事、相川社長、谷井組合長

▲協定書に署名する谷井組合長ら